香川の建築めぐり:讃岐の砂糖しめ小屋

日帰り出張で高松に行って来ました。ついでにいくつか建物を見たのですが、その中でとびきり感心したのがこれ。ちょっと和心ある建築家が設計した現代建築にも見えますが、実はそうではなくただの民家です。

砂糖しめ小屋といって、香川特産の和三盆をつくるために、さとうきびの汁を搾っていた小屋です。今は移築保存されてぽつんと建っていますが、昔のモノクロ写真を見るとかつては民家の傍に建っていたようです。

(竪穴住居を除けば)日本の民家で円形平面は相当レアだと思うのですが、内部にその理由がありました。建物の壁に沿って牛がぐるぐる周ると中心の軸が回転して、歯車のついた石臼が回る仕組み。何とも良くできています。

軒が円形なので、屋根架構も独特。高台寺傘亭をほうふつとさせるデザイン。

形態は機能に従う、などと言いますが、これは確かに目的がまず決まっていて、それに見合った建築を合理的に突き詰めた姿だと思います。見た目だけでも現代に通用する程美しいのに、趣味趣向でつくった形態ではなく裏に確固たる必然性がある。先人の創意工夫に感心するばかりです。

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