コア抜き

古ビルのリノベーション計画にあたり、耐震診断を構造事務所にお願いしています。この建物は現在の耐震基準ができる以前の昭和40年代に建てられた鉄筋コンクリート造のビルのため、現在の耐震基準でも安全に使えるかどうかを診断してもらいます。

耐震診断では、構造計算をする前に、現地調査も行います。開口部や壁の位置が図面通りに施工されているのか、大きなクラック(ひび割れ)が壁に走っていないかなどを確認すると同時に、コンクリートの状態も調査し、総合的に診断を行います。

コンクリートの状態を確認する方法はいくつかありますが、今回は『コア抜き調査』を行います。この調査では、コンクリートの壁の一部をくり抜いて、強度や密度が十分にあるかどうかをより精確に検査します。

まず、コアを抜きたい位置周辺の鉄筋の位置を、機械を使って確認し、チョークで印を付けていきます。コアはある程度の長さが必要な為、鉄筋が当たってしまうと違う位置に穴を空けなおさなければならないため、慎重に確認していきます。

次に、コア抜き位置の上部に小さな穴を空け、ボルトを設置します。このボルトを使って、コア抜きの機械をずれないようにしっかりと固定します。

この機械に、筒状の刃を装着します。今回は80φの大きさのものを使用しました。

コア抜きの過程でコンクリートの粉が大量に出る為、機械に水を循環させながら行いました。機械にホースを繋いで水を循環させることで、粉塵が周囲に飛ぶことなく作業を行う事が出来ます。

所定の深さまで円筒状の切込みを入れ、その隙間から慎重にノミで叩き、奥の端部でコンクリートを落としてコアを採取します。

中身が詰まっている、綺麗なコアが抜き取れました。

壁の仕上げに使われているモルタル部分などを切り落とし、検査場に持ち込みます。
目視ではとても状態が良いように感じましたが、どのような検査結果が出るのかドキドキします。