4.Architecture用語

「建蓄」について

皆様から必ず一度はご質問を頂く我々の事務所の名称は、山本嘉寛建”蓄”設計事務所が正式です。決して間違いではありません。大阪府へ届け出ている一級建築士事務所の登録名称も、税務署に届け出ている屋号も、「蓄」の字を使用しています。

古来より、我が国で建物をつくる意味で使われてきた言葉に「普請」があります。普く(あまねく)請う(こう)、たくさんの人々にお願いして力を借りること、がそのまま建物をつくる意味になる。なかなか素晴らしい言葉ですが、現代では「普請道楽」や「安普請」など、どちらかというとマイナスの意味として使われるようになってしまいました。

明治時代に、西洋からarchitectureなる概念が日本に入ってきた当初は、その訳としてまず「造家」いう言葉が生まれました。しかし造るべきは何も家だけではなかろう、ということで徐々に「建築」という言葉が優勢になりました。造家学会が建築学会に名前を変えたのが1897年、何でも伊藤忠太先生の「アーキテクチュールの本義を論じて其の訳字を撰定し我が造家学会の改名を望む」という論文の影響が大きかったそうですが、それから100余年下って、新しいものをどんどん作ることが我々設計者の主題ではない時代がやってきました。これからはスクラップ&ビルドではなく、よりよい空間をつくってそれをストックしていくことが求められています。そういう時代には「建てる」と「築く」、つまりひたすら建て続ける、ではなく、「建てる」「蓄える」のほうがふさわしいのではないか、と考えて「建蓄」と当てた訳です。

時には雑誌や郵便物などに”山本嘉寛建畜設計事務所”と記載されて心が折れそうになりますが、(○蓄 ×畜)たくさんのお施主様から「これは良いネーミングだから続けたほうがよい」と温かい励ましのお言葉を頂戴し、設立以来ずっと使い続けています。(写真は本文とはあまり関係ないですが伊藤忠太設計・西本願寺伝道院)

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