奈良の建築めぐり:旧田中家住宅

お施主さまのお父様から、奈良市の古民家が移築復元されているとのお話を伺い、見学に行ってきました。古民家にも色々ありますが、これは法蓮造りという型式で、現存する最古のものということです。面白いのは、大和棟を持った奈良の農家スタイルと、格子を備えた町屋スタイルの折衷になっているところです。奈良市法蓮町(かつての法蓮村)は農村と市街地のちょうど境目だったので、建物もその両方の性格を備えています。正面は小径の丸太でつくった素朴な縦格子。その名も法蓮格子というそうです。

 

基本的には農家なので、牛をつなぐ為の金具が付いています。中の土間の一角には牛小屋もあります。農家ならハナレをつくるところが、スペースがないので室内につくったのでしょう。牛と一つ屋根の下で暮らす生活に想像が膨らみます。

 

ため息の出るような空間でした。

 

他に見学者もいないので貸切です。唐招提寺から徒歩5分強。外国人旅行者にも見せてあげたいなあ。

⇒昔のくらし館・旧田中家住宅