真壁の家 Shinkabe House

奈良市内、東大寺や若草山を望むマンションのリノベーション計画です。お施主様から頂いた、素材感のあるレトロな空間のイメージをどうやってマンションリノベーションに生かすことができるか考える中で、コンクリート躯体の中に入れ子状に木造の骨組みを組み、そこに必要に応じて建具や壁をあてはめていく、昔の木造住宅のような真壁造のデザインにたどり着きました。

現代のマンションリノベーションでは、工事の簡略化のために鋼製スタッドやSPFなど簡易な間柱に石膏ボードを張って仕上げる大壁造が一般的です。美術館のような真っ白な空間をつくる上では適した工法ですが、陰影のある彫りの深い空間をつくることは出来ません。

1970年代までは、マンションの内装工事であってもまずは柱梁を組んで、そこに砂壁を塗り、建具を入れ、畳を敷く民家のような工法が一般的に行われていました。コンクリートの躯体の中とはいえ、そこには仕上と構造が一体となった素朴な空間があったように思います。

今回は敢えてそういう造り方に立ち返ることで、職人の手仕事の跡や素材感を残し、温かみのある空間をつくることが出来ないだろうかと考えました。