施主支給支援

素材や仕様そのままに建設コストを削減する手段として、「施主支給」があります。通常は工務店が卸業者から仕入れる資材を、施主(=建築主) が別ルートで購入して現場に納入し、取付け工事のみを工務店に依頼する手法です。ある建材の見積値が高かった場合、施主がネットショップなどで激安価格の建材を購入して現場に納入すれば、その差額分だけ工事費を減額することができます。また、工務店の諸経費は原則的に総工費に対する割合で決まるため、本工事から資材の分を除外すればその分の諸経費が無くなる、という考え方も出来ます。

今日では一般の方でも簡単にインターネットで建材を購入することができますので、商品を探す手間さえ惜しまなければ、工務店経由に比べて安い価格で資材を仕入れられる可能性が高くなっています。特に照明器具や家具、カーテンなど単体の建材については施主支給は非常にメリットがある手法です。しかし一方で、工事と密接に関係する資材や設備については施主支給によるデメリットも考慮する必要があります。

 

1.ローンに含めにくい

施主支給扱いにより本工事の契約金額は下がりますが、契約に含めないということは通常、ローンに組み込むことはできません。融資先の審査にもよりますが、基本的には直接代金を支払う必要性が生じます。従って、施主支給が大きくなるほど、現金での負担が大きくなります。

 

2.現場納入時期の調整が難しい

建築工事では通常、現場の進捗に応じて工務店が順番に必要な資材を発注します。工程管理は請負業者の大事な業務の一つです。しかし施主支給の場合は、建主自身がメーカーや卸業者、現場監督と綿密に打合せして、いつ何を現場に納入すればよいのか調整する必要があります。ネットショップ等から資材を注文する場合は、納入日が予定より一日ずれてしまった、という事もしばしば起こります。しかしその日の取付けのためにやってきた職人が仕事を出来ず、もう一日余計に段取りするような事態になれば、余計に1日分の人件費(職人1人3万程度)を支払わねばならない事になってしまいます。さらにその遅れが他の工程に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

 

3.必要な部材の選定が難しい

建材や設備機器の中には、商品自体の他にビスや配管、配線など、付属部材が必要になるものがあります。建主が直接部材を取り寄せる場合は、それらの付属部材についても 過不足なく仕入れる必要があるため、商品やその取付方法についての知識が必要となります。

 

4.責任が曖昧

例えば水栓を施主支給し、それを工務店が組み立たとして 数年後に水漏れを起こった場合を考えます。水栓自体の不良が原因なのか、 取付工事に問題があったのかをはっきりさせることは非常に困難です。 工務店が発注した物品であれば、機器・工事どちらに問題があったとしても、 工務店が請負業者として責任を持ってメンテナンスする義務が生じますが、 施主支給が絡んだものについては責任外ということになってしまいます。

 

5.工務店の理解が必要

工務店は資材と人件費について経費を計上することで利益を生み出しています。その中の資材の分を切り離すことは工務店にとってメリットがある話ではありません。また専門家でない方が現場に介在することで、むしろ通常の業務に比べて余計な労力が発生する場合が多く、上記4の問題もできれば避けたいところです。そのため、工務店によっては施主工事NG、という考え方の業者も存在します。

 

施主支給サポートを行なっています。

このように施主支給が増えれば増えるほど現場との蜜な連携が必要となります。建築業界にかなり明るい方でなければメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまう可能性が十分あります。結局最初から工務店に頼めばよかった、ということになっては本末転倒です。そのため当所では、ケースに応じて商品の調達や現場納入時期の調整についてサポートする業務を行っています。

本当は施主支給無しで全ての工事を行えればベストですが、リスク覚悟で削れるところは少しでも削って、出来る限り希望を叶えたいというお施主さまがほとんど。特に関西の皆様の厳しい金銭感覚をクリアするには、なりふり構わぬ工夫が必要です。