京都の建築巡り:京都市京セラ美術館

投稿日: カテゴリー: 京都

 

今年の5月にリニューアルオープンした京都市京セラ美術館に行ってきました。

近づいて行くとまず目に入るのは、入口への長く緩やかなスロープ状の広場。遠くからだとほとんど見えず、既存の建物を邪魔することない自然なたたずまい。

現在コロナの影響により予約制なので、待ち時間の間に建物の周りを散策しました。

 

コンクリート打ち放しの外壁に真鍮の板?を張り付けた外観の東山キューブ。今回の工事で増築された部分です。

 

テラスからは美術館の庭園や街並みが見渡せます。晴れていればもっと気持ちよさそうです。

 

中に入るとエントランスは古いレンガ部分と新しい白い部分とが調和しており落ち着いた雰囲気。まずは美術館内のカフェENFUSEでランチ。彩り豊かで食べるのがもったいないくらいです。

 

ショップの様子。

 

 

アーティストの展示をめぐりつつ、建物内を散策。場所によって空間の雰囲気が全然違います。

 

中央ホール。なめらかな螺旋階段が美しいです。

 

光の広間。鬼頭健吾さんの作品が展示されていました。

 

東エントランス。庭園を眺めながら一息。杉本博さんの企画展をゆっくり観ました。

 

久々の建築巡り、見どころ満載でした。また頑張らねば。

 

 

太閤園と忘年会

投稿日: カテゴリー: 5.Diary大阪

事務所の忘年会を兼ねて、京橋にある太閤園の淀川邸に行ってきました。淀川邸は明治時代に藤田伝三郎が築造した網島御殿のうち、戦争で焼失せずに残った東邸を利用した大きな料亭です。

 

建物に入ると、まず洋館風の前室に案内されます。家具やシャンデリアがなんとも贅沢です。

 

その後、美しい庭を眺められる和室でお料理を頂きました。想像をはるかに凌駕する美味しさでした。

 

 

料亭の方に設計事務所だと伝えると、食事のあとで建物内を色々案内して下さいました。

 

一番大きい紹鴎の間(52帖)。披露宴なども行われる格調の高い空間です。奥に見える建具を全て取り外すと能舞台としても利用できるようになっています。年1~2回行われているそうなので、一度見てみたいです。

 

さらに無料公開されている敷地内の日本庭園も散策し、食事、建築ともに大大満足の一日でした。

 

MAD Architectsの講演会

投稿日: カテゴリー: イベント

文野が久々にブログを書きます。

MAD Architectsのマー・ヤンソンさんの講演会に行ってきました。MAD Architectsは、中国人のマー・ヤンソンさんとダン・チュンさん、そして日本人の早野洋介さんの3人による建築家グループです。海外の建築家の講演会に行くのは初めてだったのでワクワクしながらホールに入って、最前列の席を確保しました。

彼らの建築の特徴は曲線を使った有機的な形です。その理由は都市一帯に広がる均一化された四角い無機質な近代建築に疑問を持ち、それらは人のために作られた建物ではないのではないかと思ったからだそうです。そしてもっと人のための建築、つまり人と自然、建物が一体となった風景や体験を作ろうとしているそうです。そのため、彼らの建物の多くは山や雲、地形など自然の形態をモチーフにしています。講演では、地形に合わせてつくられた集合住宅や、山のようなオペラハウスなど魅力的なプロジェクトがたくさん紹介されてとても面白かったです。最後に若者が今やるべきことは?という問いに対して、新しいことへのチャレンジであるという熱い言葉で締めくくられました。

やっぱり講演会に行くと、モチベーションが上がります。

僕も、頑張らなくては。

 

沖縄の建築めぐり:ホテルムーンビーチ

投稿日: カテゴリー: 沖縄

2日目の宿はホテルムーンビーチ。DOCOMOMO選定、憧れの建築に泊まれて大満足。垂れ下がるツタはもちろん本物。

 

内部/外部の取り扱いが非常に巧みで本当に素晴らしい。

 

中庭にプールがある設計のホテルは、日本にはほとんど無いと思います。贅沢。

 

随所に魅せる階段。

 

やっぱり気になったので夜中に最上階へ。廊下の先端に植え込みがありました。片持ちスラブが下の階より大きく張り出しているので、壁面に干渉せず垂れ下がる訳ですね。

 

 

なるほど。こいつが壁面に食い込む訳か。

 

宿泊室からオーシャンビュー。

 

ピロティ見上げ。ワッフルスラブ。

 

外観。設計した故・國場幸房は大高事務所出身。なんとなくテイスト感じたり。築40年で色々劣化していますが、まだまだ永く現役であってほしいホテルでした。

沖縄の建築めぐり:備瀬のフクギ並木

投稿日: カテゴリー: 建築めぐり沖縄

お盆の間の余興にと思っていたのですが、いつの間にか秋風が・・・まだもう少しあるので足早に。美ら海水族館から車で5分ほど北に行ったところにある備瀬のフクギの並木。お昼ごはんを食べにたまたま寄っただけでしたが、大変良いところでした。

 

背の高いフクギ(福木)が鬱蒼と・かつ整然と並んでいます。古いもので樹齢300年。防風林として植栽されたもの。貝やら虫やらトカゲやら、生き物もたくさんいます。

 

 

林の中に民家が点在しています。今回の旅では沖縄の古い住宅には入れなかったので、また機会を伺います。

 

 

砂岩でつくられた塀。築100年ほどとか。

 

海沿いに飲食店が並んでいます。その先がビーチ。抜群のロケーション。

 

 

ちなみに美ら海水族館のようす。海遊館はインバウンドで混雑しているイメージがありますが、沖縄も大変なことになっていました。夏休み前なので半数ぐらいは外国人。とはいえ子どもたちには国籍や言葉など関係なく、みんな仲良くなって駆け回っていました。

沖縄の建築めぐり:名護市役所

投稿日: カテゴリー: 沖縄

美ら海水族館に向かう道すがら。名護市役所は教科書や建築士試験にも出てくる名建築。沖縄の風土と調和したデザイン・・・と言われてもピンと来ませんでしたが、街並みや日差しや緑を感じながら訪れるとなるほど納得。1981年竣工ですがバリバリ現役です。当時は当然手書き図面ですし、意匠に関わる部分は機能上の必須条件ではありませんから、これだけの密度で設計・施工したパワーは、それはそれは凄まじかったのであろうと思います。

 

アサギテラスと呼ばれるオープンスペースがサービス部分と平面的・立体的に組み合わさっています。アサギ(神アサギ、神アシャギ)とは沖縄本島北部で集落の祭りを行う建物。「アサギ広場にこそ沖縄のコミュニティが凝縮されている。市庁舎は、まちにそびえる白亜の殿堂ではなく「むらからまちへと連続する地域環境の文脈」のなかで捉えたい。市庁舎は新しいアサギ広場が必要である。(名護市庁舎概要)」

 

ブーゲンビレア無双。

 

溢れる光の下で、凹凸のある外観や空隙の多い屋根が深い陰影を生み出しています。

 

雁行プランを突っ切る雨水側溝。

 

巨大スロープは、議場へのアプローチ。

 

スロープ踊り場より。息子、走る走る。

 

メイン入口。外部空間は強烈ですが、案外、受付や執務スペースはありがちな地方の市役所の雰囲気で、ちょっと残念。トイレなど、かなり老朽化しているようなので、躯体とコンセプトを活かして是非リノベーションして欲しいものです。

 

 

沖縄の建築めぐり:SPICE MOTEL OKINAWA

投稿日: カテゴリー: 沖縄

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少し前になりますが、関西が梅雨真っ最中の頃に遅めのGW休みを頂き、沖縄へ家族旅行に行ってきました。小さい子供連れなので建築巡りは殆どありませんが、沖縄を訪れるのは初めてなのでピンポイントに幾つか旅程に忍ばせました。一泊目の宿泊先は「SPICE MOTEL OKINAWA」。いつもお世話になっているアートアンドクラフトさんが手がけたデザインモーテルです。

 

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フロントには巨大な電飾。リノベーション前のモーテルからの再利用品かな。

 

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宿泊棟の階段。ペンキ塗りの壁・天井とPタイル剥がしっぱなし床の定番スタイルですが、ガラスブロックから入る光で何やら神々しい空間に。

 

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2階廊下。内部・外部が曖昧な雰囲気で、植栽がワサワサ。窓の外は大きな共用テラス。

 

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テラスの様子。ちなみに植栽設計は弊所でもいつもお世話になっているsojiの松下さん。適材適所な植栽がシンプルな建物に彩りと柔らかさを添えていました。

 

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1階にあるラウンジ。ミッドセンチュリー感が溢れています。奥にはランドリー。

 

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ラウンジに工事前のセピアな写真がありました。フロントの電飾も発見。

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左の方に海が見えます。向かいの山頂は米軍施設。少し南には普天間基地もあります。単なるリゾートではない、リアルな沖縄を感じられるホテルでした。撮影し忘れましたが、部屋もシンプルかつ気持ちよくて、非常に快適でした。ありがとうございました。

 

 

ナインアワーズ なんば店に行ってきました

投稿日: カテゴリー: 大阪

初めてブログを書かせていただきます。4月から入所した文野です。よろしくお願いします。

僕の初めて書く記事は先日見学に行ったナインアワーズなんば店について。ナインアワーズは最近どんどん数が増えているカプセルホテルで、関西には現在3店舗あります。1時間(汗を洗い流す)+7時間(眠る)+1時間(身支度)で、合計ナインアワーズということらしいです。

 

なんばパークスのエスカレーターを上がって入っていくと、受付カウンターと広くて清潔感のあるレストスペース。

 

受付の奥にカプセルルームやシャワールームにつながる黒くて小さいトンネルのような一本の廊下。表の白い仕上げとは対照的で歩いているとだんだんお休みモードになっていきそうです。一本の照明もかっこいいです。

 

次はいよいよカプセルルーム。男性用と女性用でカプセルの色が違います。僕は赤坂のナインアワーズに泊まったことがあるのですが、カプセルは入ってみると意外と広くて結構快適でした。足元にはロールスクリーンがあるので他の人を気にすることなく、くつろぐことが出来ます。

 

カプセルホテルですが廊下が窓に面していて結構明るかったです。

 

シャワールームとロッカールームがスキップフロアになって繋がっています。ここも男性用と女性用で配色が違います。洗面の鏡の周りには照明が付いていて、芸能人のメイクルームのよう。

 

へこんだ休息スぺースは思わず入りたくなりました。独特な色合いで、優雅な感じです。オープンしたら人気のスペースになりそうです。

 

足元やいろんなところにかわいいピクトグラムが書かれていて分かりやすいです。

 

 

これからも時々ブログに登場しますので、よろしくお願いします!

HOSTEL64のクロージング

投稿日: カテゴリー: イベント

この4月で、大阪市西区にあるHOSTEL64が閉業しました。クロージングイベントの最終日に滑り込みできました。

 

HOSTEL64はアートアンドクラフトが運営するデザインホステル。2010年、独立後間もなく暇を持て余していた頃に、ご縁あって立ち上げのお手伝いをさせて頂きました。今ではインバウンドの恩恵でゲストハウス隆盛、設計事務所がデザインすることもごく一般的になりましたが、当時は殆どそういう業態がない時代でした。隔世の感と共に、その先見性にはいつもながら感心します。久々訪れたロビーには、懐かしい空間がそのままに、少しずつ全体的にくたびれながら、良い時間が流れていました。

 

懐かしいマグカップとサプライズ再会。当時は、建築の設計関係はほぼ出来上がっていたので、こういった小物類の調達のお手伝いをさせて頂きました。その後アートアンクラフトさんとは幾つかの物件で協働させて頂き、そのご縁で今もお世話になっている方々がたくさんいます。自分の中では本当に貴重なプロジェクトです。

HOSTEL64については、オープン当初の諸々に加えて、一周年記念のパーティーも強い印象に残っています。スケジュールを見返すと2011年3月13日。震災・津波の2日後です。日本中が大混乱になって、原発はメルトダウンして(当時は分からなかった訳ですが)、電気も足りなくて、先行きが全く分からない中、それでも大阪は元気出していこう、という熱いイベントになったことをよく覚えています。

 
懐かしくて、旧ブログから当時の記事を掘り出しました。

http://yyaa.jp/blog/7263/

 

閉店の寂しさと共に、リノベーションゲストハウスの嚆矢としての役目を全うしたと思うと清々しくもあります。ありがとう、ロクヨン。

クリスチャン・ボルタンスキー展

投稿日: カテゴリー: イベント

中之島の国立国際美術館で開かれているクリスチャン・ボルタンスキー展に行ってきました。ボルタンスキー氏はユダヤ系フランス人アーティスト。日本国内では、香川県の豊島にある「心臓音のアーカイブ」が有名です。やまもとも豊島の作品が強く印象に残っていて、是非この展覧会は見たいと思っていたのでした。

 

豊島の作品も非常にシリアスで重いテーマですが、今回は国内初の大規模回顧展ということで、質・量ともそれを遥かに凌駕するものです。彼の作品のキーワードは「トラウマ」。この展覧会はまさに彼のトラウマの世界に迷い込んだような空間です。ここでの体験はおそらく一生リフレインして離れないのではないか・・・それほど強いインパクトでした。

 

アーティスト本人が構成したうす暗い会場には、件の大音量心臓音、くじらと交信するための装置(くじらの鳴き声のような音がする)、無数の風鈴の音が重なりながら響き渡っています。壁と天井に掲げられた無数の人物のモノクロ顔写真と、ピンスポで照らし出された展示物が暗示する人の死や不在。彼の作品の根底には絶えず「死」への問いかけがあり、それは多分に親族から伝え聞いたホロコーストの惨状の影響によるものだということですが、ここには実際の戦争のフィルムや遺物は一切ありません。しかし敢えて具体的な事件を引用しないことで、人間が人間に行ってきた様々な負の歴史が重く心にのしかかってきます。広島の平和記念館資料に入った時に感じる、あの感覚です。

 

「私の作品は、この場所そのものとそれにまつわる歴史的な記憶と悲劇、そしてそれらに対する私の解釈からなる一種のコラージュのようなものです。来てくれた一人ひとりが長い時間をかけて沈黙し、私の作品を通じて亡霊たちを見て、聞いて、感じてほしいと願います。(美術手帖 2016/9)」

奈良の建築めぐり:郵便名柄館

投稿日: カテゴリー: 奈良

奈良県御所市の住宅計画。午後からお施主様・工務店と現地調査なので、少し早めに出て、近くにある郵便局を改装したカフェでランチすることにしました。古い集落の中に和洋折衷のレトロな建物がよく馴染んでいます。薄いピンクの板張りにポストが映えますね。

 

 

期待が高まる入口。丁寧に保存され、リノベーションされていることがよく分かります。

 

 

エントランスホールは割とそのままの雰囲気。奥は公衆電話です。

 

 

古切手。販売中。もちろん使えます。

 

 

明るい店内。ダクト空調に本気度を感じますねえ。

 

 

コーヒーを頼むとレトロなテーブルの中にある筆記用具で手紙が書けます。ゆっくりした時間がうれしい。今日はランチなので残念ながら。

 

 

そしてランチ。吐田米をはじめ、味噌やしょうゆなど地元の食材が満載。これはかなり幸せ。ごはんはおかずと一緒に食べるともったいないぐらいの粒立ちでした。

 

本日のお品書き。ごちそうさまでした。お施主様にもおすすめしよう。

 

 

奈良の建築めぐり:大和郡山市役所庁舎

投稿日: カテゴリー: 奈良

大和郡山で戸建リノベの現場調査。割と新しい住宅なのでサラっと実測を終えて、近くの市役所へ確認申請などの書類を調べに行きました。

 

郡山城趾の南東に位置する郡山市役所。中に入るのは初めてです。設計は日本武道館や京都タワーの設計者として有名な山田守。現存する作品が少なく、市庁舎に至っては実作がここだけ、ということでかなり貴重な建築です。ただ、1961年築ということでかなり痛みが激しく、増改築も繰り返されていて、原形を留めているのは一部だけのようです。

 

市役所南側のアプローチはかつての大和郡山城の中堀。百寿橋という橋が架かっています。この橋は戦前につくられているので違うらしいですが・・・

 

橋の袂ににある石が山田守設計なんだそうです。言われてみれば確かにそれらしいポッテリしたデザイン。

 

建物の西半分(旧館)がオリジナル。東半分(新館)は1977築の増築です。いわゆるインターナショナル・スタイルで、いかにも山田守という感じではないですが、時代を感じさせる風貌です。うまくリノベーションしてやれば十分カッコよくなる雰囲気はあります。

 

旧館の東側。東西の連結部。

 

旧館の裏手。引き違いのスチールサッシはもう動かないだろうなぁ。一昔前の国立大学の雰囲気。

 

旧館の階段室。漏水の応急措置が生々しいですが、見ようによってはなかなか趣があります。

 

この時代の市役所庁舎でいまだに鉄骨ブレースの耐震補強工事を行っていないものは珍しいのですが、平成18年に実施した耐震診断ではIs値0.07(!)。これはいつ地震でぺしゃんこになっても全く不思議ではないレベルです。現在庁舎の建替え設計が進んでいるそうなので、大きな費用をかけて耐震改修を行うより建替えの準備が出来るまでじっと粘ろう、という作戦のようですが、いやはや実に危険な賭けですねえ。

 

で、肝心な書類の調査。担当部署に伺うと、

「いやー、その書類の管轄はうちじゃなくて土木事務所なんですよ。」

「・・・。」

 

 

参考文献:大和郡山市庁舎建設基本計画(案)

兵庫の建築巡り:武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル)

投稿日: カテゴリー: 兵庫

神戸松蔭女子学院大学のインテリアの講義では、半期に一度、学外研修を組み込んでいます。今年度は西宮市にある武庫川女子大学の甲子園会館を見学させて頂けることになりました。今は大学のキャンパスとして利用されていますが、かつては甲子園ホテルという豪華なホテルで、東の帝国ホテル・西の甲子園ホテルと言われた程の存在です。東京の帝国ホテルは既に解体されていますので、極めて貴重な建築です。建築や歴史に造詣が深い大学の方に案内して頂きながら、贅沢な見学会になりました。

 

どうして今回この建築なのかというと、諸事情ありますが、見ての通りの理由が一番です。NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」の撮影でつい最近使われたばかり。タイムリーなドラマのロケ地なら学生に興味を持ってもらいやすいのでは、いう策です。それはともかく、この中央の泉に射す5筋の光。

 

対面するハイサイドライトからの自然光です。冬至の日に光が的確に泉に落ちる設計ということで、冬至の少し前・かつ晴天だったこの日は、ほぼ理想的な状態でした。冬至の日には毎年見学会も開かれているそうです。

 

吹き抜けのあるラウンジ。左手に見える廊下から若干レベルを上げています。右手には松林。舞台が如き演出が見事です。さらにラウンジの下は厨房になっていて階上にサービスできる設計と聞くと、もはや唸るしかありません。厨房部分は現在、武庫川女子大学の建築学科のアトリエになっています。何とも恵まれた環境ですね。

 

ラウンジからつながるメインホール。2階のブリッジはオーケストラが入るスペース。舞踏会で山田耕筰がオーケストラを指揮したなど、伝説的な話がいくつもありますが、関西人なら「創立の翌年、チームの激励会で六甲颪(のオリジナルである大阪タイガースの歌)が初披露された場所」と聞くとその凄みが一番よく伝わります。

 


ホールの天井。アール・デコと和風の折衷。

 


ホール中央部の天蓋。元は金箔貼りだったそうです(現在はペイント)。金箔は成金イメージがありますが、金メッキと違って上品な輝きがあります。白黒写真しか残っていないため往時の姿は分かりませんが、きっと素晴らしい空間だったことでしょう。いつか復元してほしいものです。

小部屋のフロアタイル。大阪の豪華レトロ建築、綿業会館の談話室にあるタイルタペストリーと同じ、泰山製陶所の作品なんだそうです。どうやって貼ったんでしょうね、これ。

 

南側外観。東京の帝国ホテルや自由学園、芦屋の山邑邸はフランク・ロイド・ライトの設計とされていますが、実施設計ではその弟子である遠藤新が主要な役割を果たしています。旧甲子園ホテルの設計者はその遠藤新なので内容的にライト作品と遜色がなく、ライト自身も非常に評価していた記録があるとのこと(椅子は気に入らなかったそうですが)。シグネチャーモデルかどうか、ぐらいの違いですね。

 

屋根のアップ。建物全体に「打ち出の小槌」と「滴る滴」をデザインモチーフに様々な装飾がデザインされています。お金がどんどん沸いてどんどん滴る、いわゆるトリクル・ダウン。ライトの謎めいたマヤ風デザインが関西人の分かりやすい商売繁盛デザインに刷り替わっていて痛快です。

 

ライト印の細密な外壁意匠。山邑邸と違ってこの建物では大谷石を使っていないので、100年近く経っても比較的状態は良好です。

 

そんな感じで甲子園会館の見学は終了。その後、松林を挟んで建っている建築スタジオ棟も見学させて頂くことができました。設計は日建設計。こちらはまだ新しい建物です。

 

うちの学生たちはバリバリの建築学科ではないので、大きな模型や図面が所狭しと並ぶカオスな建築学科の雰囲気に刺激を受けたようでした。引率のやまもとはエッジの効いた日建ディテールを見ながら一人ため息。

 

建築スタジオの屋上から甲子園ホテルを見る。阪神間でこの広大な敷地。本当に贅沢な場所です。貴重なレトロ建築と、予定外に建築学科の建物も見学させて頂くことが出来、非常に実りのある学外研修となりました。ありがとうございました。

大阪芸術大学へ2

投稿日: カテゴリー: 大阪

(前回の続き)アートサイエンス学科新校舎の内部。ぐるっとガラス張りなので明るく、外部の樹木に囲まれているようで気持ちがいいです。入口は屋根の上にもあるので、いろんなところから入れます。大きなホールなので、何かイベントを開催するときはいろんな角度から楽しめそうです。

スラブの曲線に合わせて階段があります。下りたい!!

ということで早速階段へ!上ったり下りたりすごく楽しい!
「でも、校舎なのに講義室や研究室がないぞ?」と思っていると、地下があるらしいとの情報を入手しました。ホールの中にある白いカタマリから地下に向かいます。

右側がスタジオ、左側がギャラリースペースです。

ギャラリーは美術館みたいな佇まい。大阪芸大の先生方よる展示が行われていました。

ちなみに、研究室や講義室は地上部分にきれいに納まっていました。入口がしゃがまないと入れない大きさなのでびっくりしていたら、「通常は内側から出入りするんちゃう?」と山本。でもせっかくなので外から出入りしたいです!

 

とても大胆で刺激に溢れた建物でした!

大阪芸術大学へ1

投稿日: カテゴリー: 大阪

大阪芸術大学で2019年4月に新設されるアートサイエンス学科の新校舎の見学へ行ってきました。設計は妹島和代さんです。3層のスラブがふわっと重なっていて、とても綺麗です!

近づいてみると、スクールバスの停留所付近は屋根になっているのですが

芸坂(大阪芸大の入口にある大きな坂)を上ってすぐのところは建物へのエントランスになっています。「屋根に上る!」というだけですごくワクワクします!いそいそと屋根を上っていくと

2層目の屋根が近い!

柱も細いので視線の抜け感がすごいです!建物ではなく、ちょっとした丘を上っているような感覚です。

上りきって、テラス部分から上を見上げると空!うっかりすると屋根の上ということを忘れてしまいそうです。
屋根の上を満喫したのでテラスから建物の中へと向かいます。(続きます)

 

moving days

投稿日: カテゴリー: '15-20岡山ビルイベント

江戸堀のCalo Bookshop & Cafeさんで行われている「moving days 平野愛写真展」に行って来ました。人々の「引越し」に焦点を当てたとても珍しい写真集の巡回展です。大量の荷物が梱包されていく様子や、引越し作業のはずが懐かしい物についつい手が止まってしまう様子、荷物が新居に居心地よく収まって行く様子など、じっくり細かく見るほどに楽しめる内容です。

個人的には「家」や「住まい」として認識される空間と、「部屋」や「室」として認識される空間が、どこかの時点でふっと入れ替わる様に大変惹かれました。家具や物が少なくても「家」に見えたり、人が写った写真でも「部屋」に見えたり。

現場に通っていると、「資材」が「部屋」になる瞬間に立ち会えることがあります。それは劇的な変化で分かりやすいものです。一方「家」と「部屋」の違いはとても微かで、ひっそりしたものです。でも引越しする時、荷物を運び出してがらんどうになった部屋に入って、言いようのない寂寥感を感じる方は多いのではないかと思います。そういった微かで、しかし確実な変質の姿が良く捉えられているように思いました。

さて、この写真展を見に来たのは、写真集に納められている一室が「岡山ビル」のレジデンス「しかくの部屋」だからです。ものすごく自由で独特な間取りの部屋の中で、一体どんな生活をされていたんだろう、とずっと気になっていたので、「部屋」を「家」として良い感じに住みこなして頂いていた様子が見て取れて、設計者としても大変感激でした。

フランネルソファの展示会

投稿日: カテゴリー: イベント


南船場で行われたフランネルソファの展示会に伺いました。今設計中の住宅で採用検討しています。フランネルソファは名古屋の家具メーカーで大阪にはショールームがないのですが、以前の物件でもお施主様からお問い合わせを頂いたことがあり、今日の展示会も長蛇の列でした。人気ですね。

特殊なデザインではないので和にも洋にも使いやすく、寸法も海外製ソファより一まわり小ぶり、値段もめちゃくちゃ高くないという辺りが人気の秘密でしょうか。

気になったのがこちらの超ローソファ。無垢フローリングの床は非常に気持ちがよいので、こういったローソファと組み合わせて半床座の生活もなかなか快適そうです。生活する目線の高さはリビングテーブルやダイニングとの関係性もあり、なかなか奥が深いです。

舞洲に行ってきました(5)

投稿日: カテゴリー: 大阪


前回の続き)舞洲工場(ゴミ処理場)の施設は作業員のスペースもデザインされており、ゴミ収集車の計量塔の上や駐車スペースにも植栽が植えられていました。


収集車が着く場所・プラットホームの扉もカラフルです。


大きなクレーンでゴミを焼却炉の中へ。約5時間かけて灰にするとのこと。


施設内の空気を換気扇で吸い出して、ゴミ焼却用の空気として使っているそうです。超高温の炎で臭い物質もすっかり焼却されてしまうため、ものすごい量のゴミですが施設内は全然臭いがしませんでした。


最後に屋上へ。遠くに見えるのはスラッジセンター。緑が充実していて公園のような雰囲気。


くねくねとした小道を下り、見学は終了です。

普段は意識することがない下水処理のことやゴミ処理のことを学び、エコについて考える良い機会となりました。「技術とエコロジーと芸術の調和」をコンセプトに設計されたこの2つの施設は事前に申請すれば見学できるそうなので、興味のある方は申込みしてみてください!