木川の長屋– ビルの谷間で開放的に暮らす小さな家。 –

大阪市淀川区。戦前から続く長屋街が時代と共に分割・建替えられ、ビルの谷間に最後まで残った1戸を解体して建て替える計画。
大阪市淀川区。戦前から続く長屋街が時代と共に分割・建替えられ、ビルの谷間に最後まで残った1戸を解体して建て替える計画。
外観正面。道路側は目いっぱい建て、敷地奥に光が入る広縁を確保。
外観正面。道路側は目いっぱい建て、敷地奥に光が入る広縁を確保。
寡黙な表情の立面。外壁はガルバリウム鋼板の角波葺きとして、地域に多く見られる素材・工法を引用。
寡黙な表情の立面。外壁はガルバリウム鋼板の角波葺きとして、地域に多く見られる素材・工法を引用。
細身のエキスパンドメタル親子吊戸。普段は大きい戸を固定し小さい戸のみ開閉。自転車やバイクの出し入れ時は大小の戸を控壁へ収めて全開放。
細身のエキスパンドメタル親子吊戸。普段は大きい戸を固定し小さい戸のみ開閉。自転車やバイクの出し入れ時は大小の戸を控壁へ収めて全開放。
吊戸全開放時。
吊戸全開放時。
玄関正面。道路側から奥の広縁へ視線が抜ける。
玄関正面。道路側から奥の広縁へ視線が抜ける。
土間の壁・天井はクリア塗装したセメント板。塗料と素材の反応により釉薬をかけたような風合い。内部は主にラワンベニヤ仕上げ。
土間の壁・天井はクリア塗装したセメント板。塗料と素材の反応により釉薬をかけたような風合い。内部は主にラワンベニヤ仕上げ。
玄関見返し。道路際の吊戸でセキュリティを取れば玄関戸は開放したまま生活出来る。南北長手方向に風が通り抜ける設計。
玄関見返し。道路際の吊戸でセキュリティを取れば玄関戸は開放したまま生活出来る。南北長手方向に風が通り抜ける設計。
内側の建具を締めた状態。
内側の建具を締めた状態。
玄関から居間方向。広縁のベンチはエアコン室外機の格納庫を兼用。
玄関から居間方向。広縁のベンチはエアコン室外機の格納庫を兼用。
母の寝間、広縁1、居間、広縁2のつながり。内部と外部が織りなす市松模様。
母の寝間、広縁1、居間、広縁2のつながり。内部と外部が織りなす市松模様。
お施主様の生活スタイルに合わせて母の寝間と居間は畳敷。広縁の床・塀・ベンチは屋久島地杉で製作。
お施主様の生活スタイルに合わせて母の寝間と居間は畳敷。広縁の床・塀・ベンチは屋久島地杉で製作。
コンパクトな居間は天井高を上げ、トップライトを穿って窮屈にならない配慮。
コンパクトな居間は天井高を上げ、トップライトを穿って窮屈にならない配慮。
針葉樹合板で造った製作キッチンとアイランドカウンター。キッチン周りの壁面はウレタン塗装したセメント板。両脇に間戸を格納。
針葉樹合板で造った製作キッチンとアイランドカウンター。キッチン周りの壁面はウレタン塗装したセメント板。両脇に間戸を格納。
ほぼフラットにつながる居間と広縁。
ほぼフラットにつながる居間と広縁。
無駄を削ぎ落して設計条件を突き詰め、住み手にとって本当に必要な物だけが残ったインテリア。
無駄を削ぎ落して設計条件を突き詰め、住み手にとって本当に必要な物だけが残ったインテリア。
居間から広縁、母の寝間見返し。
居間から広縁、母の寝間見返し。
南側の建物高さを抑え、ビルの谷間でも十分な採光を確保。
南側の建物高さを抑え、ビルの谷間でも十分な採光を確保。
浴室は1620のゆったりサイズとし、掃き出し窓から広縁ともつながる。
浴室は1620のゆったりサイズとし、掃き出し窓から広縁ともつながる。*
コンパクトな回り階段。手摺は細身のスチールフラットバー。
コンパクトな回り階段。手摺は細身のスチールフラットバー。
2階は息子さんの部屋とゲストルーム、収納を最小限の容積に納める。広縁・居間に面した連続窓から光が入る。
2階は息子さんの部屋とゲストルーム、収納を最小限の容積に納める。広縁・居間に面した連続窓から光が入る。
親類用のゲストルーム。
親類用のゲストルーム。
息子さんの部屋。デスクと本棚、服掛けを一体的に造作。
息子さんの部屋。デスクと本棚、服掛けを一体的に造作。
息子さんの部屋から見下ろし。開け放った居間は東屋のような様相。
息子さんの部屋から見下ろし。開け放った居間は東屋のような様相。
キッチンは幅2,700。シンプルながらアイランドと釣戸棚、食洗機を備え実用性重視。シンク下はオープンにしてゴミ箱を設置。奥に出窓を設けてワークスペースを拡張。
キッチンは幅2,700。シンプルながらアイランドと釣戸棚、食洗機を備え実用性重視。シンク下はオープンにしてゴミ箱を設置。奥に出窓を設けてワークスペースを拡張。
広縁上空には将来邸にタープをかける予定。
広縁上空には将来邸にタープをかける予定。
洗面・トイレはコンパクトに階段下へ集約。
洗面・トイレはコンパクトに階段下へ集約。
寝間からの夜景。
寝間からの夜景。
キッチンを挟んで左手洗面、右手脱衣・浴室。最短の動線計画。
キッチンを挟んで左手洗面、右手脱衣・浴室。最短の動線計画。
広縁と浴室。掃き出しサッシを通じて出入り可能。
広縁と浴室。掃き出しサッシを通じて出入り可能。
土間夕景。ダウンライトでシンプルなライティング。
土間夕景。ダウンライトでシンプルなライティング。
吊戸左手のドアは壁面と同仕上で設えた小さな収納。バイク用品などを整理。
吊戸左手のドアは壁面と同仕上で設えた小さな収納。バイク用品などを整理。
外観夕景。外壁面に吊戸が走るため門灯はアッパーライト。
外観夕景。外壁面に吊戸が走るため門灯はアッパーライト。
正面夕景。
正面夕景。
木川の長屋|1階平面図
木川の長屋|1階平面図
木川の長屋|2階平面図
木川の長屋|2階平面図

大阪市淀川区。大きなマンションやオフィスビルと中小の戸建住宅・商店が建ち並び交通至便な反面、日照やプライバシーの確保が難しい住環境の中、戦前から続く長屋街が時代と共に分割・建替えられビルの谷間に最後まで残った1戸がお施主様の住まいでした。それを解体して建て替える計画です。

南北に細長い矩形敷地を各々4帖半程度になるよう2×4=8つに区画し、ガレージと玄関を兼ねる土間、母の寝間、親子の居間から成る3つの「間」と2つの広縁、キッチン、浴室、サニタリーを、効率的な動線と通風・採光・プライバシーを考慮しながら割り当てます。それらは間口に合わせて設えた「戸 = 間戸」の開閉によってつながり或いは切り離されながら親子の日常を支えます。間戸は中間領域やバッファーゾーンといった曖昧な余地を残さず、ある閾値を超えた瞬間にONとOFFが切り替わる離散的なものとして設えました。

Rowhouse in Kikawa

Yodogawa-ku, Osaka City is densely populated with buildings of various sizes and uses, such as condominiums, office buildings, small residences, and stores. Although it is convenient for transportation, it is difficult to secure sunlight, ventilation, and privacy.The client is a man in his 50s and his mother. The townscape of row houses built before World War II was divided and reconstructed over time, and the last remaining unit was the owner’s residence. This project was to demolish and reconstruct it.The rectangular site, long and narrow from north to south, was divided into 8 cells (2 x 4 = 8), and a motorcycle garage, a mother’s bedroom, a living room, a kitchen, a bathroom, sanitary facilities, and two terraces were allocated according to the lifestyle of two adults. The small cells are connected or disconnected by the opening and closing of sliding doors.The materials used for indoor and outdoor spaces are not unified to mimic transparency or seamlessness, but are chosen for their functional necessity, and even when the sliding doors are open, the interior and exterior remain separate areas. This relationship between room and sliding door reminds us of the traditional Japanese row-house approach.In response to the client’s request for a living space with various uses, ventilation, and lighting on a small site, we ended up with a plan that inherited the spatial elements of the previous house. This project may have evoked memories of life in the many row houses that once existed in the area.

概要

計画|2021-2023 所在地|大阪市淀川区 家族構成|男性+お母様 構造規模|木造2階 用途|一戸建ての住宅 敷地面積|22坪[73m2] 延床面積|23坪[81m2] 施工床面積|25坪[110m2]

協働

設計監理|山本嘉寛・大武みなみ[yyaa] 施工|[サンフィールド建築工房] 鉄扉|[徳澤鉄工所] 表札金物|[bowlpond] 撮影|山田圭司郎[YFT,](*はYYAA)

掲載

SUUMO注文住宅[リクルート]|2026 Architizer(US/featured)|2024 architecturephoto|2024 アーキテクトビルダー[新建新聞社]|2024

計画前の様子

建替え前の外観。道路側は昭和期の増築。
建替え前の様子。切り離された長屋の断面。
建替え前の内部の様子。光が入らず、昼間でも薄暗い。

木川の長屋の軌跡