使われていなかった天井裏を活用した開放感のある居間。

愛でる家|住み慣れた住まいをより良く・より快適に

奈良市北部。築約40年の戸建て住宅リノベーションです。お施主様は60代のご夫婦と息子さん。長年愛着を持って住んでこられた数奇屋風の住宅は随所に粋な意匠が見られるものの、深い庇のために室内は南側でも薄暗く、押入れや収納が少ないために家の大半が物置と化している状態でした。耐震補強と断熱工事を行い、使われていなかった天井裏を活用して開放感のある居間をつくり、和室には炉を切り水屋を設けて茶室の設えに変更、クローゼットやパントリー、書棚や収納家具など用途別に十分な容量の収納を確保し、元々の意匠を生かしつつ将来に渡って快適に暮らすことが出来、お施主様のご趣味の美術や骨董、そして家や庭を存分に愛でることが出来る住まいになりました。

Mederu House

This is a renovation of house built in about 40 years ago in the northern part of Nara city in Japan. The clients are couple in their 60s and their son. They liked this house very much and lived for many years, but the interior was dark even in the day, and the things were overflowing because there were few storage rooms. We opened the attic, changed to a bright kitchen and living room, changed the Japanese room according to the rules of the tea ceremony, and made a large storage such as closet, pantry, bookshelf etc. We also improved seismic performance and thermal insulation performance. This house has been changed to a place where the clients can live comfortably over the future and they can love art , antiques, garden, and the house to their heart's content.

外部は屋根瓦や樋・門扉の修繕、外壁や木部の再塗装など、元のデザインを保持しながら改修を行いました。

外部は屋根瓦や樋・門扉の修繕、外壁や木部の再塗装など、元のデザインを保持しながら改修を行いました。

一戸建て住宅リノベーション・古民家耐震改修の施工事例|愛でる家【山本嘉寛建築設計事務所YYAA】大阪・奈良・京都|建築家

1階は既存掃き出し窓に電動シャッターを新設。2階はアルミサッシを交換。美観を損ねていたエアコンは室外機をルーバーで隠蔽、露出配管を壁内にルート変更。

玄関と階段に手摺を新設。雰囲気を損ねないよう、木工所でR加工したタモ集成材をアイアンブラケットで取り付けました。

玄関と階段に手摺を新設。雰囲気を損ねないよう、木工所でR加工したタモ集成材をアイアンブラケットで取り付けました。

玄関見返し。左手が居間の入口。集成材を曲げたアーチ枠は元々あったもの。そのまま活用し奥に扉を新設しています。

玄関見返し。左手が居間の入口。集成材を曲げたアーチ枠は元々あったもの。そのまま活用し奥に扉を新設しています。

アーチ枠から居間を見る。玄関は土壁の塗り替えや天井板のアク抜き、軋みのある床板の補強など全般的なメンテナンスを行っています。

アーチ枠から居間を見る。玄関は土壁の塗り替えや天井板のアク抜き、軋みのある床板の補強など全般的なメンテナンスを行っています。

和室を洋間に変更した居間。壁はスイス漆喰。床はチークのパーケットフローリング。開口部には質感のある麻のカーテン。

和室を洋間に変更した居間。壁はスイス漆喰。床はチークのパーケットフローリング。開口部には質感のある麻のカーテン。

デッドスペースだった屋根裏を活用した半階吹き抜けの居間。軒が深く薄暗かった室内はトップライトで一日中明るくなりました。

デッドスペースだった屋根裏を活用した半階吹き抜けの居間。軒が深く薄暗かった室内はトップライトで一日中明るくなりました。

構造補強を行いつつ、状態が良い既存の柱梁はそのまま活用。

構造補強を行いつつ、状態が良い既存の柱梁はそのまま活用。

家具製作のキッチン。十分な作業スペースを確保しつつ居間や庭を見ながら調理できる配置に変更。

家具製作のキッチン。十分な作業スペースを確保しつつ居間や庭を見ながら調理できる配置に変更。

トップライトから光が射すキッチン。左手は大容量のパントリー。一番手前の建具はガレージへと通ずる勝手口。

トップライトから光が射すキッチン。左手は大容量のパントリー。一番手前の建具はガレージへと通ずる勝手口。

オープンになった柱・梁を拠り所にして棚やハンガーパイプ、ダクトレールを設置。

オープンになった柱・梁を拠り所にして棚やハンガーパイプ、ダクトレールを設置。

家具製作したベンチに合わせて既存のチェアもミナペルホネンのファブリックに張替え。ダイニングテーブルの上はステンドグラスのペンダント。

たくさんの調度品を季節や気分に合わせてレイアウトできるように飾り棚を多めに計画。

たくさんの調度品を季節や気分に合わせてレイアウトできるように飾り棚を多めに計画。

居間の一角を利用した回遊性のあるスタディ・コーナー。表に出したくない物品を納められる大容量の造りつけ棚。

居間の一角を利用した回遊性のあるスタディ・コーナー。表に出したくない物品を納められる大容量の造りつけ棚。

物置になっていた次の間を活用した美術・骨董を愛でるギャラリー。床の間を勝手口に変更して物干し場への動線を新設。

入口引戸を無双窓に変更し、宅内に東西の風の流れを生んでいます。襖紙は鹿児島睦さんの図案。

入口引戸を無双窓に変更し、宅内に東西の風の流れを生んでいます。襖紙は鹿児島睦さんの図案。

ディスプレイしつつ大小様々な美術・骨董品を収める収納棚。その上に既存シーリングライトを撤去してダウンライトを配置。床材は吉野杉。

ギャラリーから和室、南庭を見る。猫間障子は修繕して再利用。

ギャラリーから和室、南庭を見る。猫間障子は修繕して再利用。

6帖の和室。炉を切り、土壁や畳、建具を修繕。天袋の上にビルトインエアコンを新設。

和室からギャラリーを見る。和室の襖紙はかみ添さんのオリジナルデザイン。水玉模様は居間のベンチ・照明と呼応しています。

ピアノのある応接室。床はナラフローリング。当面はお茶会時の待合として利用し、将来は主寝室に転用する計画。

ピアノのある応接室。床はナラフローリング。当面はお茶会時の待合として利用し、将来は主寝室に転用する計画。

廊下をくりぬいて新設した半間の水屋。天袋には古い網代建具を丈詰めして利用しました。

廊下をくりぬいて新設した半間の水屋。天袋には古い網代建具を丈詰めして利用しました。

2階の書斎。天井一杯の書棚を新設。カーテンはウイリアム・モリス。天井照明は新築時のもの。

2階の書斎。天井一杯の書棚を新設。カーテンはウイリアム・モリス。天井照明は新築時のもの。

概要 計画|2016-2018 所在|奈良市 用途|専用住宅 構造規模|木造2F 施工面積|56坪[185m2]

協働 設計監理|山本嘉寛[yyaa] 施工|[髙田工務店] キッチン|[KANWORKS] カーテン|[fabricscape] 手摺|[藤本木工所] 襖|[かみ添] 撮影|笹倉洋平[笹の倉舎]

助成 既存住宅・特定既存耐震不適格建築物耐震診断補助金[奈良市]

掲載 TECTURE MAG|2023 住宅建築[住宅思潮研究社]|2019