
従来、土壁を耐震補強するためには土や竹木舞を全て撤去して、基礎を新設又は補強し、耐震金物で留め、そこに構造用合板を貼る又は筋交を入れねばならない場合が多く、その床・壁・天井の周辺を含めて大掛かりな解体工事が避けられませんでした。住みながらの工事も困難です。
愛知建築地震災害軽減システム研究協議会愛知建築地震災害軽減システム研究協議会(減災協)では、住宅の耐震化が進まない最も大きな理由はコストがかかりすぎる事だと考え、あの手この手で何とかローコストに耐震補強を実現する方法を編み出しています。その集合体が【低コスト工法】です。
地震への危機意識が高い東海・四国地方では地方自治体の積極的なバックアップで普及が進んでおり、新聞やTV番組でも特集が組まれているほどですが、関西地方では兵庫県の一部を除きまだほとんど知られていません。山本嘉寛建築設計事務所ではこの低コスト工法の導入に積極的に取り組んでおり、現在設計中の2件の古民家改修について、工務店さんにご協力頂きながら検討を進めています。

低コスト工法の実践的な様々なラインナップの中でも代表的なものがL型のアルミ金物と構造用合板を用いた壁面の補強です。既存の土壁や床・壁・天井はそのままに、柱に細いL型のアルミ金物を留め、それを受け材にして構造用合板を留める工法です。天井まで合板を貼れない場合や押入・長押がある場合、壁にコンセント穴がある場合など、実際よくある低減条件下でどこまで耐震性を評価出来るのか、様々なパターンでマニアックに実験を重ね、多くの木造建築、特に和室メインの戦後日本家屋に適用しやすい工法となっています。

低コスト工法の実際の適用にあたっては様々な制約があり、現場の解体状況に応じて臨機応変に補強方法や箇所を変更しながら現場を進める必要があります。すなわち高い知識と経験に基づく設計・監理能力が問われる工法です。そのため、減災協では、「耐震補強は設計にかかるコストを惜しまないことが重要」と喧伝しています。平たく言えば、低コスト工法を導入することで設計が50万高くなっても、工事費は500万下がりますよ、という訳です。
