008 おうとくケアセンター

ジャミコンクリート,

古ビルを用途変更・増築・改修した高齢者福祉施設

築35年超の空きビルを現代のニーズに見合った高齢者施設へコンバージョンする計画。昭和期に建てられた地方のオフィスビルは、その多くが空室と老朽化に悩まされています。都市部ならリノベーションにより再生する方向性も考えられますが、経済の疲弊した地方ではオフィス需要自体が低下しており問題は深刻です。一方、介護分野では、介護疲れや緊急時の受け皿としてショートステイの需要がますます高まりつつありますが、民間事業としては建設補助金や税制優遇が受けられないため事業として成立させることが難しく、全国的に施設数不足の状態が続いています。今回は新築ではなく既存ビルの改修・増築を行うことによってイニシャルコストを低減、近接する病院が運営母体となることで経営の効率化を計り、単体としては運営が難しいショートステイ施設を実現することができました。かつては廃墟同然だった古ビルがコンバージョンにより再生し、地域医療の拠点として多くの利用者に活用されています。

Outoku Care Center

増築棟も既存棟合わせてデザイン。最頂部はエレベーターオーバーヘッドを格納してスペースを最大限活用。
増築棟も既存棟合わせてデザイン。最頂部はエレベーターオーバーヘッドを格納してスペースを最大限活用。
左が既存棟。居室の採光を確保するためALC外壁に大きな開口を空け、ハコ型の頂部をカットして三角屋根に変更。
左が既存棟。居室の採光を確保するためALC外壁に大きな開口を空け、ハコ型の頂部をカットして三角屋根に変更。
1階デイサービスセンター。床はナラ無垢フローリング、壁はペイント。家のように使うほど味が出る温かみのある空間を目指している。
1階デイサービスセンター。床はナラ無垢フローリング、壁はペイント。家のように使うほど味が出る温かみのある空間を目指している。
デイサービスセンターは既存建物全体を利用した大きな空間。フルオープンの折戸を新設し、中庭と一体的に利用できる。
デイサービスセンターは既存建物全体を利用した大きな空間。フルオープンの折戸を新設し、中庭と一体的に利用できる。
既存部と増築部を雁行配置することで生まれたスペースを緑の溢れる中庭。
既存部と増築部を雁行配置することで生まれたスペースを緑の溢れる中庭。
中庭から既存棟をみる。
中庭から既存棟をみる。
2階ショートステイ。認可条件を満足しながら共同生活室と廊下を一体的に計画し、省スペース化と施設感を抑える工夫。
2階ショートステイ。認可条件を満足しながら共同生活室と廊下を一体的に計画し、省スペース化と施設感を抑える工夫。
2Fは元々倉庫だったため天井高が低い。居住性が心配されたが、かえって親密な空間になった。
2Fは元々倉庫だったため天井高が低い。居住性が心配されたが、かえって親密な空間になった。
既存部を利用したショートステイ居室。洗面器は車椅子使用が出来、かつシンプルなデザイン。
既存部を利用したショートステイ居室。洗面器は車椅子使用が出来、かつシンプルなデザイン。
増築部のショートステイ居室。窓から中庭が見下ろせる。
増築部のショートステイ居室。窓から中庭が見下ろせる。
3階共同生活室。
3階共同生活室。
3階ショートステイは勾配天井を生かし広がりがある空間。
3階ショートステイは勾配天井を生かし広がりがある空間。
居室の扉はストレッチャーの搬出入が可能なワイドサイズで製作。
居室の扉はストレッチャーの搬出入が可能なワイドサイズで製作。
居室入口サイン。建物のコンセプトに合わせてシンプルな家形。ブラケットが見えないデザイン。
居室入口サイン。建物のコンセプトに合わせてシンプルな家形。ブラケットが見えないデザイン。
煩雑になりがちな館内サインも統一してデザイン。
煩雑になりがちな館内サインも統一してデザイン。
洗面脱衣室。
洗面脱衣室。
デイサービス・ショートステイ共通で使用する1階浴室。個浴は地産の吉野檜にて製作。写真右のスペースは機械浴を設置予定。
デイサービス・ショートステイ共通で使用する1階浴室。個浴は地産の吉野檜にて製作。写真右のスペースは機械浴を設置予定。
同じ間取りだが天井のつくりの違いによって2階と3階の雰囲気が異なる。
同じ間取りだが天井のつくりの違いによって2階と3階の雰囲気が異なる。
アイランドキッチンとテーブルはタモ材にて家具製作。
アイランドキッチンとテーブルはタモ材にて家具製作。
夕景ファサード。
夕景ファサード。
断熱材・高断熱サッシの導入によりZEB実証事業に認定されている。
断熱材・高断熱サッシの導入によりZEB実証事業に認定されている。
ウッドデッキでは花火など様々な催しを行う。
ウッドデッキでは花火など様々な催しを行う。

概要 新築/1977 計画/2010-2013 所在地/奈良市 用途/デイサービスセンター・ショートステイ 構造規模/鉄骨造3F + 鉄骨造3F 敷地面積/170坪[570m2] 設計対象面積/227坪[750m2]
協働 意匠設備設計監理/山本嘉寛[YYAA] 構造設計監理/[オオイシ] 施工/[谷建設] サイン計画/松宮未来子 サイン製作/土屋正和 檜風呂製作/[Greenforest] 撮影/笹倉洋平[笹の倉舎](*はYYAA撮影)

助成 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業/[SII]
受賞 グッドデザイン賞(公共用の空間・建築・施設部門)/2014 住まいのリフォームコンクール一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会長賞/2014
掲載 リノベーション・ケーススタディブック2[トーソー出版]/2016 デザイナーズFILE2016[カラーズ]/2016 新建ハウジングプラスワン[新建新聞社]/2015 GOOD DESIGN AWARD[日本デザイン振興会]/2015

おうとくケアセンター|既存平面図1F
おうとくケアセンター|既存平面図1F
おうとくケアセンター|既存平面図2F/3F
おうとくケアセンター|既存平面図2F/3F
おうとくケアセンター|平面図1F
おうとくケアセンター|平面図1F
おうとくケアセンター|平面図2F/3F
おうとくケアセンター|平面図2F/3F

おうとくケアセンターの軌跡