彩ちゃんの家|吹き抜けサロンのある庫裏
密集市街地に建つお寺の庫裡です。重い障がいを持つ娘さんやその介護のための充分な動作空間、お友達や近隣の皆さんが集まれる場所を確保するため、敷地西の駐車場から東の本堂までを大きな吹抜サロンでつなぐことで、家族以外の方々も利用できる半公共的な住宅になっています。敷地は日当たりのいい南側に開けていますが、娘さんが直射日光に弱いことと、墓地が隣接する立地条件のため1階を全て閉じて壁面収納とし、大きなハイサイドライトから光を採りました。外観をモダンな形態にまとめながら漆喰や焼杉貼など伝統的な素材を用いることで、新しいものと古いものが混在する街並みに呼応した佇まいとしています。設備の面では太陽光発電や蓄電池、薪ストーブ、地下水を利用した手動ポンプ等を備え、地震など災害時の駆け込み寺としての機能を備えました。
House for Aya
This is a monk's living quarters in the old town of Osaka. For their daughter with serious handicaps , and their local supporters, the new salon was installed by connecting from the street to the main hall of the temple . To protect their daughter from direct sunlight, and to divide the inner rooms and outer graves , the first floor is closed and light is taken from the big high side light. By using modern but traditional materials such as shikkui (Japanese stucco) , yakisugi (burned cedar) , and kawara (Japanese tile) , this house is harmonized with the city where old and new buildings coexist.
墓地に面した南面。1階は焼杉の壁で閉じて墓地のスクリーンとして活用。2階は大開口を取って吹き抜けサロンへ採光。
変形した土地形状を手掛かりに、外郭と内部プランを4°傾けて2階南面にバルコニーを確保。
薪ストーブを中心とした吹き抜けサロン。普段はLDK、催事は集会場。向かって左側に娘さんの生活スペース、右側に収納や車いす置場。奥の扉はお寺の本堂へ直結。
浴室・洗面室を一体的に設計。ベッド利用を考え十分な広さを確保。
娘さんの部屋から玄関見返し。駐車場から段差なく直接アプローチ。
2階和室。奥様のスペース。折り畳み式の机は1階天井裏を有効活用した掘りごたつ。
2階南バルコニー。小さな菜園として利用するため給水を備える。
和室から吹抜につながる小窓。
主寝室から吹き抜け見下ろし。
和室からサロン見下ろし。薪ストーブの背面はアンティーク耐火レンガ貼。
吹抜空間を十分に暖めてくれる薪ストーブ。
大皿の収納や複数人数での調理を想定した大容量キッチン。天板はステンレスバイブレーション仕上。
本堂より見下ろし。境内を高温焼成瓦や豆砂利洗出し仕上で一体的に整備し、山門も補修。
■概要 計画|2011-2012 所在地|大阪市東成区 家族構成|ご夫婦・お子様 構造規模|木造2階 用途|一戸建ての住宅 敷地面積|46坪[152m2] 延床面積|36坪[119m2] 施工床面積|49坪[162m2]
■協働 設計監理/[アートアンドクラフト]+[yyaa] 構造/福永毅[造形工学研究所] 施工/[ヒロタ建設] 撮影/笹倉洋平[笹の倉舎]
掲載 Architizer/featured