大和郡山で戸建リノベの現場調査。割と新しい住宅なのでサラっと実測を終えて、近くの市役所へ確認申請などの書類を調べに行きました。
郡山城趾の南東に位置する郡山市役所。中に入るのは初めてです。設計は日本武道館や京都タワーの設計者として有名な山田守。現存する作品が少なく、市庁舎に至っては実作がここだけ、ということでかなり貴重な建築です。ただ、1961年築ということでかなり痛みが激しく、増改築も繰り返されていて、原形を留めているのは一部だけのようです。
市役所南側のアプローチはかつての大和郡山城の中堀。百寿橋という橋が架かっています。この橋は戦前につくられているので違うらしいですが・・・
橋の袂ににある石が山田守設計なんだそうです。言われてみれば確かにそれらしいポッテリしたデザイン。
建物の西半分(旧館)がオリジナル。東半分(新館)は1977築の増築です。いわゆるインターナショナル・スタイルで、いかにも山田守という感じではないですが、時代を感じさせる風貌です。うまくリノベーションしてやれば十分カッコよくなる雰囲気はあります。
旧館の東側。東西の連結部。
旧館の裏手。引き違いのスチールサッシはもう動かないだろうなぁ。一昔前の国立大学の雰囲気。
旧館の階段室。漏水の応急措置が生々しいですが、見ようによってはなかなか趣があります。
この時代の市役所庁舎でいまだに鉄骨ブレースの耐震補強工事を行っていないものは珍しいのですが、平成18年に実施した耐震診断ではIs値0.07(!)。これはいつ地震でぺしゃんこになっても全く不思議ではないレベルです。現在庁舎の建替え設計が進んでいるそうなので、大きな費用をかけて耐震改修を行うより建替えの準備が出来るまでじっと粘ろう、という作戦のようですが、いやはや実に危険な賭けですねえ。
で、肝心な書類の調査。担当部署に伺うと、
「いやー、その書類の管轄はうちじゃなくて土木事務所なんですよ。」
「・・・。」
参考文献:大和郡山市庁舎建設基本計画(案)