こんにちは山本嘉寛建築設計事務所の山本です。3月に入り、少し日差しも暖かくなってきました。法改正や昨今の情勢を鑑み、私たちの事務所では設計監理の仕組みを2点、改定しましたのでご報告します。
①設計監理業務委託報酬の改定
私たちの事務所では、国交省告示第98号にもとづき設計監理業務委託報酬を計算しておりましたが、それに代わるものとして令和6年1月6日に国交省告示第8号が交付されたため、その趣旨に合わせて算定法を改定しました。ただ国交省告示が示す算定法は概要を目安として示す程度であり、実際の算出については設計監理者の裁量に委ねられています。私たちの事務所では告示第98号から告示第8号に算定方法が変わっても業務報酬額に大きな差は生じないように調整します。(目安としては、計画立案時に想定される工事費の10%~15%程度です。)
②相見積もりから特命見積への移行
私たちの事務所では長らく3社の相見積(入札)によって施工会社を決定するプロセスを採ってきました。相見積を行う事で施工会社間に競争原理が働くこと、設計事務所と施工会社の独立性が明確になる事が大きなメリットですが、最近では人材不足と価格高騰の影響により生じるデメリットが計画の進行を阻害するケースが多くなってきました。
■施工会社は特命(1社指名)の案件を優先して見積・施工するため、人材不足が進む今日では、技術力があり、かつ相見積に参加に参加して頂ける施工会社を3社確保することが難しい。
■早めに施工会社のスケジュールを確保しておかないと、希望通りの工期にスムーズに工事に入って頂けない場合が多い。
■古民家リノベーションや狭小・変形地など、難しい条件の案件の増加により、実際に施工する側の意見を取り入れながら設計を行う必要がある。
■見積が確かで価格も安く、最良と思われた建設会社であっても、現場に人材が無く計画を実現する能力が乏しい場合があり、相見積だけでは施工会社の良し悪しを判断できない。
■設計と見積の精度が高い状況下では、複数社に見積を取っても大きな金額差は望めない。
■相見積を取って比較検討を繰り返すため、施工会社の決定まで長い時間がかかる。
そのためこれからはプレゼンテーション時に、適切と思われる施工会社を数社ご提案します。設計を進める段階で、その中から1社選定してプロジェクトチームに加わって頂き、特命にて見積・施工を進める形を取りたいと考えています。ただ、どうしても施工会社と金額の折り合いがつかなかったりご希望のイメージに添わない場合は改めて他社を検討します。