きたまちの家|大きな吹き抜けのある古民家の改修

奈良市内にある古い住宅。敷地内には色々な年代の建物が濡れ縁や中庭を介して連なっています。その中で一番古くて大きな納屋を、快適な生活が送れる住まいへ改修する計画です。納屋は元々材木倉庫として建てられたため半分が大きな吹き抜けとなっていて、大部分が吹きさらしの状態でした。劣化して柱梁から剥離した大量の土壁を全て落とし、蟻害・腐朽を受けた柱梁を補強・交換し、断熱補強を行った上で、吹き抜けを大きなLDKに転用、その周りに来客用の和室、寝室、水廻り、収納、猫の部屋を整備しました。

House in Kitamachi

This is a project to renovate an old house in Nara City. Various buildings of different ages stand on the site, sharing a corridor and a courtyard. The oldest and largest of them is a barn with a large atrium, built to store long logs. The barn had been little used for many years and had become weathered. The client wanted to renovate it into a comfortable living space.We removed a large amount of mud walls that had detached from the bamboo framework due to continuous leaks, rebuilt the basement, reinforced columns and beams that had been weakened by termite and decay damage, and filled the roof and walls with insulation.The atrium, converted into a large living room, leads to a Japanese-style room, bedroom, sanitary room, cat room, and closet. A steel stair leads to the bedrooms on the second floor, and the perimeter of the atrium is a corridor with structural reinforcement.

薪ストーブを囲むリビング。2階の東西に新設したハイサイドライトから一日を通して光が入る明るい室内。

屋根・壁がボロボロになっていた下屋を耐震補強して修復。キッチン背面は一部オープン・一部クローズの大容量パントリー。

キッチンからリビング見返し。H鋼フレームの力桁階段。

リビングの一角にある猫の部屋。狸やアライグマが入れないよう、高めに設けた小さなドアからいつでも出入り可能。

ベタ基礎を打設した土間に断熱材・床暖房を敷設し、タイル貼。

ダイニングから和室を見る。渡り廊下の納戸は格子戸に入替え、エアコン室外機と床暖房熱源機を格納。

和室/縁側からキッチンを見る。縁側天井は既存利用

元々あった和室を一度解体。断熱・耐震補強、床暖房、ビルトインエアコンなど性能面をアップデイト。半帖畳の軽快な設えに変更。

大きな切妻屋根。黒光りする既存柱梁は工事に際してお施主様が丁寧に磨き上げたもの。

構造補強を兼ねたキャットウォーク。

サッシの桟を古い柱の裏に隠して雰囲気を損ねない設計。

2台のシーリングファンで吹き抜け空間を攪拌。

キャットウォーク南東より見る。

大屋根は葺き替えない計画の為、天井内側から断熱施工し、杉板を一枚一枚、丸太の母屋にひかりつけ。

キャットウォークから寝室を見る。下屋の屋根裏空間を利用した本棚。

西側寝室。

東側寝室。大屋根の屋根裏をロフトに活用。

母屋より見た全景。外壁は杉板鎧貼り。傷みの激しかった下屋は瓦屋根を葺き替え、樋を全体的に整備。

概要 計画|2019-2022 所在|奈良市 家族構成|ご夫婦・お子様2人 構造規模|木造2階 用途|一戸建ての住宅 延べ面積|50坪[180m2] 施工面積|60坪[210m2]

協働 設計監理|山本嘉寛[yyaa] キッチン|[KANWORKS] 撮影|山田圭司郎[YFT,]

受賞 YKK性能向上リノベデザインアワード選考委員賞|2023

掲載 SuMiKaオンラインセミナー[SuMiKa]|2023 性能向上リノベStyle book vol.1[扶桑社]|2023 Architizer(US/featured)|2022