大阪の建築めぐり:大丸心斎橋本館


年末商戦でにぎわう御堂筋。関西人ならおなじみの風景ですが、この大丸の建物は実は結構有名な建築です。

 


この建物の最大の面白さは、踊り場をスキップフロア的に利用した階段室と1階~中2階の吹き抜けだと思います。竣工が1922年ですから、当時としては相当斬新だったんじゃないでしょうか。今でもとても気持ちいい空間です。個人的にもとても思い入れのある建築で、小さい頃、親に連れられて行くたびに、なんかここ面白くて好き、みたいな感覚があったことをよく覚えています。もちろんヴォーリズの事ことなど全く知らなかった訳ですが、今から思えばはじめて「建築体験」をした場所の一つ なのかなあという気もします。

 

空襲であたり一面焼け野原になった中、このビルだけ残っている写真を見たことがあります。特別頑丈だったからか、ラッキーだったからかよく分かりませんが、 いずれにせよよく残ったものです。その後の保存もとても良好ですし、後から建った隣の村野藤吾設計・旧そごうが先に解体されていることを思えば、とても幸運な建築クンです。

 


踊り場のニッチに水のみ場。こういう感覚は今の商業建築にはないですねぇ。まだまだ永く残ってほしい建築です。