工事前の様子。いかにもレトロな「岡山ビル」。長年の風雨に晒され劣化がかなり激しいですが、何とか再利用したいものです。修復方法や取付方法を試行錯誤することになりました。
解体工事時に職人さんに頼んで保管してもらった「岡」。スクレイパーを使って既存の塗装を剥がしていきます。これが思いのほか重労働。ちょうど手伝いに来ていた学生くんの手も借りて、何とか綺麗な状態に戻せました。
元の状態に並べてみる。何となくフォントのバランスが気持ち悪い気がします。
横棒を水平に保ったパターン。何となくこちらのほうが疾走感があるような。
プレーンな状態に戻った文字は、樹脂製なのでこのままでは味気ない。真鍮スプレーでめっきを施します。
工事前は取り付け用ビスが露出した形状でしたが、折角なので格好良く取り付けましょう。文字より一回り小さく切り出した硬質ウレタンフォームを壁面にビス留めし、文字を接着してはめ込みます。台紙はそれぞれの文字をスキャンしてIllustrator上で再レイアウトしたもの。トレーシングペーパーに実寸で打ち出しています。
出来上がり。レトロ感を保ちつつ、ちょっとだけ以前よりシュッとしました(大阪弁)。長い闘いでしたが何とか無事に完成して一安心。
こういうニッチなデザインはお施主さまも、建設会社も、建築家も、看板屋も、誰もやらない地道で手間のかかる作業なのですが、だからこそやる価値があるのではないかと思っています。