まだ設計段階ですが、過去の度重なる増改築によって建物に謎が多いため、先行して内部の解体を行っています。天井裏の梁の状況がわかると抜ける柱・移動できる柱が分かるので、プランニングに選択肢が増えます。また、床下の状況によって工事費が大きく変わるので、あらかじめ把握することができれば、工事着手後の余計な追加工事を最小限に抑えることができます。
解体前に床下を覗いて分かっていたのですが、今回は古家にも関わらず床下が全てコンクリートで覆われた「ベタ基礎」です。40年ほど前に一度大規模なリフォームを行って、その時に基礎のやり替えも行っているようです。当時はまだベタ基礎が一般的ではない時代なので、割と先進的です。さらに、古い柱梁が残ったままベタ基礎に替えているということは、当初から伝統的な「玉石基礎」ではなく「布基礎」であったことが分かります。戦前の建物で布基礎の例は珍しく、構法の歴史を調べましたが、昭和初期には既に導入している事例もあったようです。
そんな具合で、建物の古い部分と新しい部分の組み合わせ、構法の変遷、新建材が使われているかどうか、など、建物の謎解きをしながら、長年の継ぎ接ぎで複雑に絡み合った条件を整理していきます。