
四つの小屋と路地の家|堺市南区|四つ角の家
大阪府堺市。ニュータウン開発に取り残されたなだらかな丘の中腹に計画した住宅。8.1m角の正方形平面をもつ1つの大きな家型をつくり、その中に各頂点から派生した4つの小さな家をつくると、小さな家と家のあいだに十字型の隙間が生まれます。小さな家は機能上の要求から全て異なる気積となるため、隙間は交差点ではなく路地裏の四つ角のような歪みを伴った空間となります。小さな家と四つ角は穿った開口によりつながり、裏返され、時には開き時には閉じながら住み手の生活が育まれます。具象的な焼杉のテクスチャを纏いながら抽象的な家型のアイコンとして外部をつくり、複雑なスキップフロアの空間構成を持ちながら単純なホワイトキューブとして内部をつくる。相反する条件がバランスを保ちながら共存する建築は、ニュータウンと旧村落がせめぎ合いながら互いに歳を重ね、ある種の平衡状態に近づきつつあるこの敷地に似つかわしい住宅の姿のように考えています。
Crossroads in the House
This house is located in Sakai City, Osaka Prefecture, on a hillside facing a traditional village and a residential area developed after World War II.Inside the 8.1m*8.1m square house-shaped volume, four small houses derived from each vertex form a cross-shaped gap.Since all the small houses have different functions and different shapes, the gap naturally becomes a space like a crossroads of alleys. It is the hub of family life, leading to private areas, storage, and the outside. The small houses have windows facing the crossroads, which can be opened or closed as needed.We designed the exterior as an abstract house-shaped icon with figurative burnt cedar textures. On the other hand, we designed the interior as a simple white cube with a complex split-level plan.We believe that an architecture in which conflicting conditions coexist in balance is appropriate for this site, where the boundaries between old and new residential neighborhoods are gradually blurring as they age together.

敷地の周りを斜路が取り囲みプライバシーを確保しにくい環境。唯一開けた南西に向けて大きな開口を取る。2階にはお花見の出来るテラス。

西より。8.1m x 8.1mの真四角の上に宝形屋根が架かるシンプルな家型。

南東から見る。道路を挟んで桜並木と雑木林が広がっている。外壁は焼杉縁甲板貼り。屋根はガルバリウム鋼板一文字貼り。

北西から見る。桜並木の先はなだらかな丘陵。アプローチは建物のかたちを踏襲した正方形のコンクリート土間。

俯瞰。変形敷地の中に整形の建物を置く。北側斜線一杯のボリューム。

土間へと続くエントランス。床は墨入りモルタル。建具はラワン合板。

エントランスからリビング方向。アンティークガラスを嵌めた扉はリビングへの入口でもあり、小さな家の出口でもある。

大きな階段のあるリビング。半階上にダイニングキッチンのある四つ角が見える。

リビングから大きな階段を見返す。床は灰茶色のオイル塗装を施したナラフローリング。

四つ角からダイニングキッチンを見る。

リビングの上はテラスを納めた小さな家。内と外を両義的に扱う。

キッチンから四つ角を見返す。キッチン天板はステンレスバイブレーション仕上げ。扉はタモ突板。

キッチンから水廻りを納めた小さな家を見る。窓には庭の芝生、雑木林の緑、空だけが映る。

書斎から四つ角を見る。階段はエキスパンドメタル。

窓を介していろいろな場所がつながる。

北東から四つ角を見る。大きな家の四隅に小さな家が寄り添っている。

南東から四つ角を見る。キッチンバックセットの裏はクローゼットルーム。その上は和室。

大きな家と小さな家は一つの大きな屋根を共有している。

洗面室の手前から箱階段を上がって納戸へつながる。

和室。お施主様がお持ちのブラックウォルナット天板に合わせてアイアン脚をデザイン。

和室の窓から大きな家、テラス、桜並木を見通す。

小さな家の中。トップライトから光が射す。

雑木林の緑を楽しめる洗面室・浴室。壁面はサブウェイタイル。

土間ガレージ。中2階の下には秘密基地が広がっている。

小さな家は必要に応じて大きさが全部異なる。四つ角が歪むことで正方形平面の強い求心力が適度に拡散されている。

夕景。4つの小さな家が発光する。

小さな家の灯りは気分に応じて調光できる。

手吹きガラスのダイニングペンダント。ダクトレールを細い鋼材で吊るす。

汚れが気になるキッチンの床は四半敷きのタイル。バックセットのニッチはブルーに塗装。
概要 計画/2015-2018 所在地/大阪府堺市 用途/専用住宅 構造規模/木造2F 坪単価対象面積/45坪[148m2]
協働 意匠・設備設計監理/山本嘉寛・三橋香織[YYAA] 構造設計監理/安江一平[ワークショップ] 施工/[マサキ工務店] キッチン/[KANWORKS] 照明計画/石堂信吾[DAIKO大阪TACT] ファブリック/[fabricscape] 外構/松下岳生[soji] 金物/[上手工作所] 撮影/笹倉洋平[笹の倉舎]
掲載 【出版】注文住宅 by SUUMO [リクルート]/2022.8 HOUSING by SUUMO [リクルート]/2022.4 HOUSING by SUUMO [リクルート]/2022.2 IXDesign [GAM Community(KR)]/2019 【Web】TECTURE MAG/2023 architecturephoto/2019 Houzz(featured)/2019 AEC Cafe(US)/2019 archdaily(CL)/2019