昭和小路の長屋II|賃貸京町家のリストア
京都市東山区。戦前に建てられた長屋の改修プロジェクト第二期工事。長年賃借していた前入居者によって奔放にアレンジされた内装・外装を剥がし、DIY増築された部屋を減築して庭を復元、オリジナルに戻した上で、薄暗かった二間の和室を杉板張りの大きな居間に転換してファミリー向けの住居へと再生しました。東西の開口や階段上部から漏れる光が白く仕上げた壁・天井によって拡散し、庇の深い町家ながら室内は明るい雰囲気で満たされています。土壁の補修は中塗りに留め、新設の合板や床板は古色塗装せず素地のまま、殆どの柱梁や木製建具、階段は美装・補修の上再利用しました。改修をリノベーション(刷新)よりむしろリストア(再起)と捉え、普通は簡単に解体撤去してしまうような素材や部品の声を聴き、それらを活かす方法を考えることが厳しいコストの制約を受ける事業改修を解く鍵になるのではないかと考えています。
Rowhouse on Showa-koji st. II
This is the second phase of a renovation project for a row house built in the early Showa period in Higashiyama-ku, Kyoto.The original Kyomachiya framework was restored by removing finishing materials that had been added by the previous occupants and converted to a modern floor plan. A tsuboniwa garden was restored by removing an addition room.Soft light coming in from the east and west windows and from the top of the staircase fills the interior with bright light despite the deep eaves of the machiya.To harmonize with the old interior, the mud walls were not finished, the plywood and floorboards were left unpainted, and the posts, beams, sliding doors, and stairs were repaired and reused.We believe that the key to a successful renovation of a rental machiya is to treat old materials and small parts with care.
外観。前入居者によって黒く塗装された外壁を漆喰塗りに復元。虫籠窓を補修。
玄関建具は美装して再利用。屋根は葺き土を撤去して桟瓦に葺き替え、耐震性を向上。
玄関土間。正面の納戸は居間側からも使える動線。
玄関土間から居間を見る。
玄関土間見返し。自転車・バイクが入る広めの間口。
出窓は格子を外し、磨りガラスに変更した木製建具を再利用。小路から入る柔らかな光。
シンプルな壁付けキッチンと家電置き場として設えた出窓でテーブルをL形に囲むダイニング。
押入れの中にあった階段をストリップ階段に変更。アイストップに書院障子。壁面はセメント板・ベニヤ・土壁のコンポジション。
床は杉の無塗装フローリング。天井はペイント。小梁表し。
ダイニングから庭を見る。塀は焼杉貼。
東西の窓と階段上から漏れる光が白い壁・天井で拡散して居間は明るい雰囲気。
2階。既存天井板を剥がして船底天井に変更。
壁・天井はラワン。床は補強を兼ねた構造用合板。全て無塗装の素地仕上げ。
殆どの内部建具は美装・建具調整ののち再利用。今では珍しいもみじの磨りガラス。
概要 計画/2019 所在地/京都市東山区 用途/長屋 構造規模/木造2F 敷地面積/16坪[53m2] 坪単価対象面積/23坪[76m2]
協働 設計監理/山本嘉寛・文野智大[YYAA] 施工/[城南組] 不動産コンサルティング/[京都R不動産] 撮影/笹倉洋平[笹の倉舎]
助成 まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業[京都市]
足跡