
1つ屋根の下の2世帯住宅|奈良県御所市|葛城山麓の家
大和葛城山の東面に広がるなだらかな裾野。シンプルな三角屋根の下に、ご夫婦とお母さま、猫2匹が暮らしています。ご夫婦とお母さまの住まいは部分的に重なり合い、二世帯住宅というほど離れず同居というほど近くない、ちょうどよい距離感を保っています。ご夫婦の住まいは1階のLDKから、大きな窓と本棚のある吹き抜け階段を通って2階のランディング・寝室・水周りへつながります。お母さまの部屋は反対に1階を寝室と水周りとし、コンパクトなLDKを2階に配置しています。窓の外には田畑や葛城山の四季折々の風景が広がり、ゆっくりした時間が流れています。

大和葛城山の東面に広がるなだらかな山裾。田畑の中に古い集落が点在している。

市街化調整区域のため、のどかな田園風景は将来にわたって担保されている。

大きな農家の一部を解体して新築。残した離れはご主人の仕事場として活用する。広い外構は住みながら少しずつ手を入れていく。

外観正面。向かって左がお母様の住まい、右が娘夫妻の住まい。玄関は共有。

玄関。外壁は焼杉、保護塗装仕上。経年変化で徐々に色が抜けていく。

玄関から前面道路見返し。床タイルは娘夫妻のロンドンの旧宅を参照している。

住み手はご夫婦とお母様と猫2匹。

娘夫妻のLDKは1階。窓の外は四季折々の表情を見せる田畑と山々。

南面の吹き抜けに大きな開口を取る。南北に風が通り抜ける。

キッチンよりLDK全体を見渡す。

ダイニングより南庭を見る。

吹き抜け階段に添って造りつけた大きな本棚は耐力壁を兼ねている。

リビングの吹き抜けから階段で2階へ。

張り出した2階のランディングは小屋梁からスチールロッドで吊っている。

2階。ランディングは「踊り場」と和訳される。階段近くにあって読書したりギターを弾いたり自由に活用できる余白。お施主様と打ち合わせしながらイメージを共有していった。

ランディングからは道路向かいの田畑、金剛葛城山系の山々が見渡せる。

屋根勾配に合わせ、天井の高い寝室。

洗面・トイレ・浴室を集約したバスルーム。トップライトから光が射す。

吹き抜けとダイニングキッチンを見返す。2階ランディングの奥はゲストルーム。

玄関を挟んだ向かいがお母様の住まい。右手のキッチン裏からもパントリー・勝手口を経由してつながっている。収納や設備を共有し、お互い雰囲気は感じつつ気兼ねなく住める動線計画。

ご夫婦とお母様の生活スペースを逆転して配置している。お母様の寝室は1階。ブルーグレーの壁面。

2階お母さまの居間。南北に開口を取った細長いLDK。中央はキッチン家電など多目的に収納する造作家具。奥の居間は畳敷き。

インテリア夕景。全体を明々と照らすのではなく、スタンドランプで必要に応じて明るさを足していく照明計画。

階段・本棚・柱梁など、足がかり多いインテリアはキャットタワー代わり。

夕景。2階の小窓はご夫婦が使い慣れた上げ下げ窓としている。

住み方や間取りを何度も試行錯誤して突き詰めたことで、二世帯住宅にも関わらず冗長な建物にはならず、コンパクトで周りの風景に馴染んだかわいい佇まいになった。
概要計画/2016-2021 所在地/奈良県御所市 家族構成/ご夫婦・お母様・猫2匹 構造規模/木造2階 用途/一戸建ての住宅 敷地面積/210坪[700m2] 延床面積/40坪[120m2] 施工床面積/40坪[140m2]
協働 設計/山本嘉寛・三橋香織[YYAA] 施工/[福本工務店] 撮影/笹倉洋平[笹の倉舎]
掲載 注文住宅 by SUUMO [リクルート]/2022.4
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