木川の長屋|
奈良市の旧道沿いに建つ大正期の町屋。建物の骨格はしっかりしているものの、玄関や道路側の和室はテナント貸しするために大幅に増改装され、その後空き家となって放置されていました。奈良市の補助金を活用することで木格子や庇、焼杉壁、瓦屋根といった町屋の意匠を復原し、内部は古い柱梁や天井板を活かしつつ耐震補強を施し現代的な住み方に合わせてリノベーションしました。一階は大きなリビングと庭を見ながら調理できるアイランドのダイニングキッチン、回遊性の高いバックヤードとコンパクトな水回り。二階は多目的に使える天井の高いワンルーム。厨子二階の下屋を吹き抜けに変更して玄関と鉄骨階段を新設しました。


細身のエキスパンドメタル親子吊戸。普段は大きい戸を固定し小さい戸のみ開閉・施解錠、自転車やバイクの出し入れ時は大小の戸を控壁へ収めて全開放。

土間の壁・天井はクリア塗装したセメント板。塗料と素材の反応により釉薬をかけたような風合い。手前は同面・同材で仕上げた収納扉。

玄関正面。奥の庭まで視線が抜ける。

室内外のボード・建具はスイッチ高さで目地を揃えて突付貼り。

玄関から居間方向。庭のベンチはエアコン室外機の格納庫を兼用。FIX窓はスチール枠にて製作。

寝間、庭1、居間、庭2

内と外の物理的な境界はなくなっても、フレームや素材によってあくまで領域はそのまま。

コンパクトな居間。お施主様の生活スタイルに合わせて縁なし畳敷き。居間から庭2。手前は合板で作ったアイランドカウンターと寸切ボルトの釣り棚。

居間と庭2の関係性。庭のデッキと塀は耐久性の高い屋久島地杉で製作。今と庭との関係性。閾があることで、内外の空気は繋がっても視覚的には縁が切れたまま。

針葉樹合板の製作キッチン。両脇の壁に間戸が格納されている。合板で作ったアイランドカウンターと寸切ボルトの釣り棚。キッチン周りの壁面はウレタン塗装したセメント板。

大きな吊戸棚は寸切ボルトで支持。キッチンは幅2,700。天板はステンレスバイブレーション仕上。シンク下はオープンにしてゴミ箱を設置。食洗機をビルトイン。
キッチンは構造用合板でシンプルに製作。天板はステンレスバイブレーション仕上げ。幅2,700。アイランドと釣戸棚、食洗機を備え実用面は充実。出窓を設けてワークスペースを拡張。
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居間天井にはトップライト。

庭1から寝間を見る。
庭1から寝間を見る。

2階は全てオークフローリング貼。中庭に面して連続窓を穿ち、隣家が迫る中でも明るい部屋んあった。

ご親族用のゲストルーム。

息子さんの部屋。デスクと本棚、服かけを一体的に造作。

息子さんの部屋から見下ろし。開け放った居間は東屋のような様相。

寝間の夜景。

庭2から浴室。掃き出しサッシで出入り可能。

居間は天井が高い。

階段見下ろし。左の壁面に撤去した丸太梁の切断面が覗く。

火袋の吹抜けに鉄砲階段を新設。

洗面・トイレはコンパクトに階段下へ集約。

土間夕景。アッパーライトでエキスパンドメタル戸が照らされる。

階段見下ろし。左の壁面に撤去した丸太梁の切断面が覗く。

調理しながら南庭を眺められるキッチン配置。

システムキッチンを製作カウンターに嵌めこむ。
キッチンの背面は回遊性のある納戸。インターホンや給湯リモコン、調光スイッチはまとめてニッチに格納。

厨子ニ階の屋根形状に沿って階段を新設。余剰空間を使い切る設計。

階段から2階のへやを見る。ドアノブは真鍮のアンティーク。
概要 計画/2021-2023 所在地/大阪市淀川区 家族構成/男性+お母さま 構造規模/木造2階 用途/一戸建ての住宅 敷地面積/22坪[73m2] 延床面積/23坪[81m2] 施工床面積/25坪[110m2]
協働設計監理/山本嘉寛・大武みなみ[yyaa] 施工/[サンフィールド建築工房] 鉄扉/[徳澤鉄工所] 金物/[bowlpond] 撮影/山田圭司郎[YFT,]
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